イブスキの創業者であり現会長。
スタッフから「親方」と呼ばれ親しまれている。

その日に作った物は、大半をその日か、ほぼ数日中に売り切る。
「煙の届く範囲内で売れよ」と先代がドイツで教わった事を今も基本としています。

「安全や消費者の事がおろそかになるから、食べ物屋は企業でなく家業であるべき!」
地域に根づき、お客様に育てられながら、支持してくれる商品を提供する。
当店がいつも考え続けていることです。

人生の転機は25歳の時

25歳のとき、食品会社の食肉担当者として、ハム・ソーセージの見本市視察でドイツ・フランクフルトを訪れました。
屋台(Imbiss)にふらりと入って食べたソーセージに魅了され、「自分で作れないか」と思い立ちます。

思い切って会社を辞め、福岡市内のドイツ料理店で修業を開始。
日本のソーセージ作りの第一人者にも指導を受け、5年間の修業を経て、さらなる学びのためドイツ各地を食べ歩きました。
現地で評判のハム・ソーセージを味わい、自分の味にするため脳裏に叩き込みました。
時には紹介を受けたマイスターに師事することもありました。

ハム・ソーセージ作りは早朝から始まります。
肉を細かく砕き、練り、腸に詰め、燻してボイルする工程は、天候や温度、湿度、季節によって毎日変わります。
季節ごとに豚肉のコンディションも違い、毎朝、豚肉と心で会話するところから、その日の製造方針が生まれます。

例えば練り(カッティング)の工程では、刃が毎分3,000回転するドイツ製最新式カッターで肉をミンチ状にした後、さらに細かくエマルジョン状に練ります。
途中、肉の温度を10度以下に保つため氷を投入し、セージやローズマリー、各種スパイスを加えます。
肉の状態は手先の感触で確認し、水分と温度のバランスを整えて最高の状態に仕上げます。
「温度計だけではつかめない、ドイツ仕込みの勘」。
ソーセージは「自分を映す鏡」とも言われ、体調が悪いと良いものはできません。

練り終えた肉は羊や豚の腸に詰め、桜チップを使ったスモークハウスで燻製します。
手作りの石釜ではビーフジャーキーを燻し、1工程に4時間以上かけて仕上げます。
量が限られるため店頭には少量しか並びませんが、圧倒的な人気を誇る一方、店主にとっては悩みでもあります。
ビーフジャーキーだけは、遠赤外線効果を活かした原始的な製法を守り続けたいと思っています。

こうして、毎日の作業のひとつひとつに、自分の技と想いを映し出し、ハム・ソーセージに命を吹き込んでいます。

(※2002年佐賀新聞 横尾記者作成の記事をベースにしています)