ドイツ純粋製法
企業ではなく家業で
ドイツの製造基準法(純粋製法)は、決して無添加製法ではなく、防腐剤、着色料は使用しない化学調味料も最低限の微量のみの製法。
その日に作った物は、大半をその日か、ほぼ数日中に売り切る。
「煙の届く範囲内で売れよ」とドイツで教わった事を基本としている。
「安全や消費者の事がおろそかになるから、食べ物屋は企業でなく家業であるべき!」地域に根づき、お客様に育てられながら、支持してくれる商品を提供する。店主がいつも考え続けていることだ。
【ドイツ代表に提供】
「イブスキ」のハム・ソーセージは
2002年のFIFAワールドカップkorea japanに出場、準優勝したドイツ代表チーム(キャンプ地宮崎)にも提供された。
代表選手の為に本国同様の食材を探していたドイツ関係者が福岡在住のドイツパン指導者のエルヴィン・ベッツ氏とアドルフ・サイラー氏の推薦等により受注。
ドイツ朝食に欠かせない「太物ソーセージ(アウフシュニット)」3種~180kg等を納めた。
後日、帯同チームコックさんより感謝の手紙と選手全員のサイン入りシャツが送られてきた。
手作りソーセージ
練りの勘はドイツ仕込み
湯気が立つ出来立てを口に入れた瞬間、プチッという音とともに、スパイスの豊かな香りが口いっぱいに広がる。
思わずビールが飲みたくなってくる。
佐賀市三瀬村にハム・ソーセージ工房イブスキを営む。
その手作りソーセージは、肉のうまみとハーブが調和し、とてもジューシーだ。
「日本人には少し塩味が強いかも。」
あくまでドイツと同じ製法~レシピも極力ドイツを再現するように努める。
万人に受ける日本式の甘く濃い味はあえて否定する。
ソーセージ製造に携わって20年以上経過したがあくまでも「ドイツの屋台で味わった最初に感じたあの味」を生涯追い求めるのが天命だと信じこれからもこだわっていきます。
人生の転機は25歳の時
肉と対話
食品会社の食肉担当者としてハム・ソーセージの見本市視察の為に訪れたドイツ・フランクフルト。
屋台imbissにふらりと入って食べたソーセージにすっかり魅了された。
「自分で作れないか」。
思いが高じて会社を辞め、福岡市内のドイツ料理店に入った。
日本のソーセージ造りの第一人者にも指導を受けた。
5年間の修業後にも勉強の仕上げにドイツへ約半年(4-5か月)各地方のハム・ソーセージ食べ歩きの旅に出る。
評判地域の本物を現地で味わい、自分の味になる様、脳裏に叩き込んだ。
時々紹介を受けたマイスターにも師事を受けたりもした。
ハム・ソーセージ作りは早朝から始まる。
肉を細かく砕き、練り、腸に詰め、燻してボイルする作業が続く。天候、温度、湿度、季節によっても毎日の製造は変わってくる。
季節によって豚肉のコンディションも全然違う。
毎朝対峙する豚肉と心で会話する所からその日の製造方針が生まれてくる。
例えば、練り(カッティング)の工程。刃が毎分3,000回転するドイツの最新式カッターでミンチ状にした肉をさらに細かくエマルジョンな状態まで練る。
途中、肉の温度を10度以下に保つために氷を投入し、セージ、ローズマリー、他の各スパイスを加える。
肉はペースト状になっており、水分と温度のバランスを手先の感触で確かめながら最高の状態を作り上げる。
「温度計だけではつかめない、ドイツ仕込みの勘」
ソーセージは「自分を映し出す鏡」体調が悪いと「絶対良いものはできない」。
練りが終われば、羊や豚の腸に詰め、スモークハウスで桜のチップを使用し燻製して行く。手作りの石釜では主に「ビーフジャーキー」を燻す。
一回の工程で約4時間以上掛かり、量も限られているため極端に仕上がる量が少なく、圧倒的な人気を誇る同商品ではあるがなかなか店頭に並ばないのが店主の悩みでもある。
ビーフジャーキーだけは遠赤外線効果を利用したこの原始的な製法を守りたいと思っています。
(2002年掲載された佐賀新聞、横尾記者様作成の記事をベースにさせていただいています。)